【これでカバーできる!】株式会社の設立のしかた

 

一口に会社といっても、いくつか種類があります。

行政書士事務所Link-Upでは、皆様の起業を応援することが重要なミッションの一つであるため、本記事では株式会社の設立方法をご紹介します。

定款のひな形もご用意していますので、是非有効に活用してください!



【目次】

 1.設立の準備

 2.定款の作成

 3.公証役場での定款の認証

 4.資本金の払い込み

 5.設立登記

 6.各種届出

 

 

 

1.設立の準備

(1)設立する会社で何をおこなうか大まかに決める。

計画する業種によっては、許認可を受ける必要がでてくることもあります。

「せっかく設立したのに事業を行えない」リスクを避けるため、あらかじめ必要となる許認可やその事務所要件などを確認しておきましょう。

 

(2)印鑑を準備する。

こちらも、この後の手続きをスムーズに進めるためにも、あらかじめ必要となる印鑑を用意しておくとよいでしょう。

印鑑の種類は以下の通りです。

 

①会社実印 ※必須

法務局に届け出る、会社の実印です。印鑑の大きさは、辺の長さが1㎝を超え、3㎝以内の正方形の中に収まるものでなければなりません。

 

②銀行印 ※あるとよい

銀行口座の開設時に銀行に届け出る印鑑です。

①の会社実印を使ってはいけないという決まりはありませんが、使用頻度などによる紛失リスクの観点などから実印と分けて作るのが一般的です。

会社の設立後に口座開設の行程があるので、もし作るのであればこの段階に用意しておいてもよいでしょう。

 

③社印(角印) ※あるとよい

領収書や請求書、はたまた社内文書など、実務的な場面で押印する際使われる印鑑です。

これも②と同じく、①の会社実印よりも使用頻度が高いと思われるため、分けて作ることが多いです。

ただ、会社の設立の段階で作る必要は必ずしもありません。

 

④ゴム印 ※あるとよい

こちらも③と同様に、実務的な場面で使う印鑑になります。

会社名や住所、代表者の氏名、電話番号などを、いちいち手書きしなくても良いようにする印鑑です。

会社の設立の段階で作る必要は必ずしもありません。実際に事業を開始し、必要と感じてから作成しても遅くはありません。

 

と、書いてきましたが、こういった印鑑類がセットになって販売していたりしますので、最初はセットで揃えていただいても良いと思います。

楽天などで「会社 印鑑」といった感じで検索していただければ沢山安くて普通のものが出てきますので、手続きをおこなうという観点からすると十分ですよ!

 

 

2.定款の作成

定款とは、会社の決まり事、規則を定めておく書類のことです。

一般的に定款は、パソコンで作成して(電子定款)、データで公証役場で認証します。もちろん紙で認証しても良いのですが、収入印紙の4万円分がかかってしまうのでお勧めしません。

 

とはいえ、その電子定款をつくるためには準備が別途必要になり、そこそこの費用がかかるので、お勧めできません。

 

※Link-Upでは電子定款の認証申請だけを1万5千円(税別)でお受けしております。公証役場に訪問するのは発起人ご自身にて行っていただきますが、設立手続き全般をオンラインにてサポートいたしますので、効率的に設立したい方にはお勧めです。

 

大事なのは、住所と商号(会社名のこと)です。同じ住所地に同じ商号の会社を設立することはできません。

 

▼法務局 同一商号・同一本店の調査を行う方法について:

 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00076.html

 

また、同じ住所でないからといって他の会社と同じ商号を使うと、民事上の責任(不正競争防止法などを根拠にした損害賠償責任)などを負うリスクがありますので、注意が必要です。(一般的に問題になることは少ないでしょう。)

 

定款には他にも、具体的に会社が何を行うのかを「会社の目的」として記載する必要があります。目的の数には制限はなく、あらかじめ広く決めておくことも可能です(のちに追加すると、変更登記で3万円の費用が必要になります。)。

 

ただ、記載の仕方に不備があると設立登記申請時に受け付けてもらえなかったり、修正の必要が出てしまって出直さないといけなくなる場合がありますので、法務局に事前に問い合わせ、確認しておくのも良いと思います。

 

そのほか、細かなルールはいくつかありますが、公証役場提供のひな型を用意していますので、こちらをベースに作成されると良いです。

 

*定款のひな形*

 

 

 

3.公証役場での定款の認証

 

株式会社の定款は、公証人による認証を受ける必要があります。

 

定款の認証は、以下の流れになります。

 

(1)公証役場を探す

定款の認証を受ける公証役場は、本店所在地がある都府県内の公証役場でなければなりません。(一覧はこちらから。)※本店が北海道の場合のみ、本店所在地を管轄する法務局の管轄地域内の公証役場に行く必要があります。

電子定款の認証をする場合は、電子認証に対応する公証役場なのかの確認も必要です。

 

(2)公証役場に連絡する

公証役場に定款の認証を受けたい旨を連絡します。スケジュールの調整を行います。また、大抵の場合、定款の内容を事前に確認するために原案を送るよう言われますので、データをメールで送信し、チェックをうけます。

 

(3)定款の用意

  1. 定款をホチキスでとじます。
  2. 定款の最後のページに発起人全員の実印を押印します。また、それぞれが同じ印鑑で定款の全頁に割印します。これを、公証役場保存用、会社保存用、登記用の計3部用意します。
    (認証当日の訂正に備え、あらかじめ捨印を押しておくとよいです。)
  3. 公証役場に連絡し、スケジュールを調整します。
  4. 以下を準備し、公証役場に行き、認証を受けます。
    (A)定款3通
    (B)発起人の印鑑登録証明書(3か月以内のもの)(各1通)
    (C)5万円の現金(公証人へ払う手数料)
    (D)約2000円の現金(定款の交付手数料/250円×ページ数)
  5. CD-Rなどの記録媒体 一つ

※場合によってはこれ以外の書類を求められることがありますので、公証役場に確認を取りましょう。

※電子定款ではなく、紙の定款で認証する場合には、上記の他に現金4万円のご準備が必要です。

 

 

4.資本金の払い込み

 

定款で定めた額の資本金を証明するための手続きになります。

 

(1)出資金を払い込む

 

発起人の個人としての口座に出資金を払い込み、その通帳を記帳します。

複数の発起人がいる場合、どの発起人の口座であっても構いませんが、通常は発起人の代表者の口座でおこないます。

 

(2)通帳のコピーを撮る
出資金の払い込みが終わったら、登記申請に備えて、通帳の次の箇所がわかるようにコピーをしておきます。

  1. 表紙
  2. 記帳欄(入金の日付がわかるように。入金日は、定款認証日以降~設立登記申請日以前です。)
  3. 表紙の裏にある、住所や名前などが載っている欄

 

(3)払い込み証明書と上記通帳コピーを綴じる

 

綴じ方などはこのサイトがすごく分かりやすく説明していますので、ご参考にしてください。

 

 

 

5.設立登記

 

登記の申請日が、会社の設立日になります。設立日はこの日にしたい!というものがあれば、その日に問題なく法務局に書類を提出できるように準備しましょう。なお、土日祝日はダメです。

 

 

(1)申請書、添付書類の準備作成

 

設立登記に必要な書類については、法務局のホームページにひな型と記載例がありますので、簡単に準備することができます。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html

 

(取締役会の有無や、株式を発起人以外に発行したか否か(発起設立か募集設立か)によって区別されていますので、ご注意ください。)

 

なお、添付書類として要求されている書類については、原本還付という処理をしなければ手元に戻ってきませんので注意しましょう。

 

また、上記にの法務局の資料にも記載がありますが、設立登記では、登録免許税として資本金の額の7/1000(最低15万円)の収入印紙を購入し、申請書に貼付して納めることになります。

この収入印紙については、申請の当日に法務局で購入することもできます。

 

 

(2)印鑑届出書の作成

 

会社実印を法務局に届け出るための書類と、印鑑カードを受け取るための書類になります。

 

設立の登記と同時に提出することになります。

 

印鑑届出書様式:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188212.pdf

記載例:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188608.pdf



(3)設立登記の申請

 

(1)(2)で作成した書面を管轄の法務局に提出します。

郵送で申請することも可能です。

 

申請で、設立の手続きが完了となります。なお、申請書などに不備がある場合、法務局から補正の連絡が来ます。

 

問題がない場合、申請してから、一週間程度で、会社の登記簿をとれるようになります。登記簿は設立後の手続きでも使用しますので、確認のためにも、必要枚数を取得しておきましょう。

 

 

6.各種届出

 

会社設立の後に行う手続きがいくつかあります。

 

(1)印鑑証明書・印鑑カードの取得

 

①印鑑カードは印鑑証明書の取得に必要になります。以下の申請書に必要事項を記入の上押印し、法務局に提出します。

 

印鑑カードは即日発行してもらえます。また、郵送での手続きも可能です。

 

印鑑カード交付申請書様式:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188219.pdf

 

記載例:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188216.pdf

 

 

②印鑑証明書の発行

 

銀行口座の開設に必要になります。下記の申請書に必要事項を記入し、印鑑カードとともに法務局にだして取得します。(郵送やオンラインでの請求も可能です。)

 

印鑑登録証明書交付申請書:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188561.pdf

 

記載例:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188563.pdf




(2)銀行口座の開設

登記簿と印鑑証明書といった書類を用意し、会社の銀行口座を作成します。

 

 

(3)各種届出

税務署、市区町村役場、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所など、必要に応じた届出をおこないます。

これが結構手間ではありますので、

 

 

税務署

提出書類
添付書類
提出期限
法人設立届出書
 
登記簿謄本
定款の写し
設立時の貸借対照表
株主名簿の写し
現物出資があるときは出資者の氏名・出資金額等を記載した書類
会社設立の日から
2ヶ月以内
青色申告の承認申請書
なし 原則として設立から3ヶ月以内(設立3ヶ月以内に事業年度が終わる場合は事業年度内)
給与支払事務所等の開設届出書
なし 第1回給与支払日まで
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
 
なし 任意(納期の特例を受けたいと思ったとき)
棚卸資産の評価方法の届出書 なし 設立第1期の確定申告の提出期限の日まで
減価償却資産の償却方法の届出書
なし 設立第1期の確定申告の提出期限の日まで
個人事業の開廃業届出書(法人成りの方のみ) なし 廃業の事実があった日から1カ月以内
 

 

税務事務所

提出書類
添付書類
提出期限
都道府県
法人設立届書(各都道府県によって呼名が異なる)
定款の写し
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
会社設立の日から1ヶ月以内(各都道府県によって若干異なる)

東京23区
事業開始等申告書

 

定款の写し
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
事業開始の日から15日以内
 

 

市区町村役場

提出書類
添付書類
提出期限
法人設立届出書 定款の写し
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
会社設立の日から2ヶ月以内(各都道府県によって若干異なる)
 

 

労働基準監督署

提出書類
添付書類
提出期限
適用事業報告 なし 従業員を使用するようになった時から遅滞なく
就業規則届 労働者の代表の意見書 常時10人以上の従業員を使用する場合は遅滞なく
労働保険関係成立届 履歴事項全部証明書(登記謄本)
事業所の賃貸借契約書
労働保険関係が成立した日の翌日から10日以内
労働保険概算保険料申告書 なし 会社設立の日から50日以内
時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定) なし 時間外・休日労働させる場合、速やかに
 

 

公共職業安定所(ハローワーク)

提出書類
添付書類
提出期限
雇用保険被保険者資格取得届 労働者名簿
賃金台帳
出勤簿またはタイムカード
雇用保険適用事業所となった日の翌日から10日以内
雇用保険適用事業所設置届 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
事業所の賃貸借契約書
労働者名簿
賃金台帳
出勤簿またはタイムカード
雇用保険適用事業所となった日の翌日から10日以内
 

 

年金事務所

提出書類
添付書類
提出期限
新規適用届 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
事業所の賃貸借契約書
労働者名簿
賃金台帳
出勤簿またはタイムカード
厚生年金保険被保険者証(年金手帳)
保険料納付誓約書
口座振替依頼書 
適用事業所となった場合、速やかに(原則として会社設立後5日以内)
被保険者資格取得届

なし

被保険者の資格を取得した日から5日以内
健康保険被扶養者(異動)届 被扶養者となる者の収入状況がわかる書類
同居用件が必要な場合は住民票など
被保険者に扶養がいる場合速やかに
国民年金3号被保険者資格取得届 被扶養者届と共に提出