贈与契約書

今回は贈与についてのお話しです。

おばちゃんがお孫さんに土地を譲ったり、お金持ちの方がNPOに車を譲ったり、贈与も多くのケースがある法律関係です。

(ひな形は下記からダウンロードしてご利用ください。)

 

 

 

贈与は、皆さんがご存知の通り、自財産を相手方に無償で与えることです。ポイントは、無償であることと、相手方の受諾が必要ということです。契約とは約束のことですから、いくら相手に有利だからといって勝手に贈与をすることはできません。

売買と同じように、贈与の対象は所有権に限られませんが、需要を考えて自分の動産の所有権やお金の贈与を前提にします。

 

贈与の場合、売買よりも契約書を作成する意味があります。それは、民法で、書面によらない贈与は各当事者がいつでも撤回できるとされているためです。これを逆に解釈すると、書面による贈与は、物を引き渡してない段階でも撤回できないということになります。

※この場合でも、取消や解除はすることができます。贈与を書面ですると、「○○をあげるって話、やっぱなしね」ができなくなるけど、契約の一般原則の通り、制限行為能力(未成年など)を理由とした取り消しや、お互い話し合ったうえでの解除はできます。

 

では、契約書を見ていきましょう。

 

・(目的)

この契約は贈与なのだと示すために、契約を結ぶ目的をきちんと定めます。

現金の場合を想定して記載していますので、物品などの場合、適宜文言を修正してください。

ここで一番大切なことは、目的物の認識を一致させることです。

もし贈与の対象が多かったり、複雑だったりした場合は、目的物の記載を別の条項に移してもよいですし、別紙の通りとして契約書の後ろに別紙をくっつける形式でも構いません。

 

・(引き渡し)

引き渡しの時期はしっかり定めたほうがよいです。引き渡しの場所や方法も、可能であれば記載しましょう。

引き渡しの費用については任意です。これを定めない場合、債務者(この場合贈与をする人)負担となります。

 

・(権利の移転)

必ずしも引き渡し=権利の移転というわけではないので、権利が移転する時期についても定めるべきです。

 

・(協議)

何かあったときに協議をするのは当たり前ですし、絶対に必要かといわれるとそうでもないのですが、入っていることが多い条項です。

「契約を気持ちよく履行しましょう。」というお互いの心構えを示す意味合いもあると思うので、今回はこの条項を含めています。

 

本当に簡単な契約書でよいのであれば、以上を記載しておけば、契約書としての最低限の役割は果たせるかと思います。

他に定める余地があることは以下の通りです。

 

(もらう側の負担の有無)

贈与は、無償でものをあげる約束ですが、その受け取りに条件を付けることができます。例えば、家をあげるから、庭の掃除はやってくれといった約束です。これを負担付贈与といいます。

負担付贈与である場合、その条件の内容をきちんと契約書に書くことが大事です。

ちなみに、受贈者が負担を履行しなかった場合、債務不履行の規定に従って解除をすることができます。

(例)

(受贈者の負担) 乙は、本不動産の贈与を受ける負担として、本不動産の敷地の管理を行うものとする。

 

(瑕疵担保責任)

贈与契約では、原則として贈与者は担保責任を負わないこととされています。(※贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときには担保責任を負います。また、負担付贈与については受贈者の負担の範囲で、贈与者は売主と同じく担保の責任を負うとされています。)担保責任とは、目的物に欠陥などがあった際に給付をした側が負う責任のことです。

売買における売主などにはこの担保責任があるのですが、贈与は無償なので贈与者には原則として担保責任がないのです。そこで、この原則とことなる約束をした際はその旨を記載しましょう。



さて、印紙についてですが、贈与契約書の場合、原則として印紙の貼付は不要です。

不動産についての贈与契約書の場合は、一律200円の収入印紙を貼る必要があります。

また、負担付贈与の場合、負担の程度によっては他の類型の契約だと評価されてしまい、印紙税の課税対象になる可能性があります。

 

ちなみに、その年(1/1~12/31)に贈与を受けた財産が110万円以上だと、贈与を受けた側の人に贈与税がかかりますので注意してください。

 

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贈与契約書のひな形
贈与契約書.docx
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