今回は金銭消費貸借契約書です。
お金の貸し借りって身近にも大変多く行われていますが、皆様契約書をきちんと結んでいますか?今回はそんな金銭消費貸借契約についての解説とひな形をご紹介させていただきます。
(ひな形はページ下部よりダウンロードしてください。)
まず、消費貸借契約とは何かということですが、物やお金の貸し借りについての約束の中でも、同じ種類、品質のものを返せばよい(全く同じものを返すわけではない)約束を指します。この点、借りたものをそのまま返さなければならない使用貸借契約と異なります。
消費貸借契約の対象としては、お金・お米・お酒など、消費できるもののやり取りが例として挙げられます。お金にせよお米にせよ、一般的な借用目的から考えると借りたものをそのまま返すなんてことは無理な話で、大抵の場合「同じようなものを返してね」という約束でしょうから。
さて、そんな消費貸借契約ですが、需要を考えて、今回は金銭についての消費貸借契約についてお話しします。借りた額を返ばよい(借りた紙幣そのものを返さなくてよい)、一般的なお金の貸し借りについての約束です。
ではポイントを見ていきましょう。
ちなみに、消費貸借契約は要物契約ですので、合意だけでは契約そのものが成立せず、別途その目的物の引き渡しが必要になります。ただ、引き渡しとはなんぞやというところまで踏み込むと少し難しくなってくるので、ここでは割愛します。
・(目的)
金額や貸付日については特に問題ないかと思います。
ポイントは利率(利息)です。契約で利息を定めない場合でも、貸主は、年5%(商人間なら6%)の利息を請求することができます。ですので、利息なしの契約にしたい場合は「利息なし」または「無利息」と記載すべきです。
また、利率の上限にも気を付けなければなりません。利息制限法で、以下の通りの上限が定められており、これを超えた部分は無効となるためです。
貸した金額が10万円未満なら年20%
貸した金額が10万円以上100万円未満なら年18%
貸した金額が100万円以上なら年15%
・(返済)
返済方法は、当事者間でしっかりと話し合ってその内容を契約書におとしこんでください。今回は分割で返すことになっていますが、これを一括で返すことにしても問題ありません。
・(期限の利益の喪失)
期限の利益という言葉が、少し難しい部分ですが、これは、「借主が約束の日までは返さなくてもよい」という利益のことです。ここでは、借主に何か問題があったときにも貸主が約束の日まで待たなくてはいけないということではかわいそうなので、一定の自由の場合は借主の期限の利益をなくし、すぐに返済を請求できるようにしてあります。
・印紙について
金銭消費貸借契約書には印紙を貼る必要があります。具体的な金額は貸付額によって変わってきますので、詳細については国税庁ホームページhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htmをご覧ください。
他に契約として定めたほうが良いことは以下の通りです。
・保証について
保証といっても様々ですが、金銭消費貸借契約では連帯保証が一般的でしょうか。
連帯保証とは、簡単に言うと、貸したお金が返った来ない場合に、貸主が借主とは別の人に請求できるようにする約束です。法的には、貸主と保証する人の間で合意、契約が必要になります。この保証は契約は、必ず書面でしなければなりません。
ただ、金銭消費貸借契約書と分けて作る必要があるかとそうでもなく、金銭消費貸借と連帯保証契約を一緒にした契約書をつくる(金銭消費貸借に以下のような条文を加え、前文や署名欄などを改造する)ことでよいです。
ただ、連帯保証人の責任は非常に重い責任ので、十分に制度を理解してから契約を締結するようにしてください。
(連帯保証)の例
連帯保証人丙は、乙がこの約定によって負担する一切の債務について、乙と連帯して保証し、乙と連帯して履行の責を負う。
・担保について
こちらも、貸したお金が返ってこない場合のための保証に関する決めごとです。例えば、不動産に抵当権を設定した場合、不動産を競売にかけるなどの方法でお金の回収を図れます。一般的には抵当権が有名ですが、他にも譲渡担保など様々です。少し難しい話になるので割愛しますが、担保についての条項を追加する余地があります。
今回は以上になります。