使用貸借契約書(物の貸し借り)

今回は使用貸借契約書です。

(使用貸借契約書のひな形は下部よりダウンロードしてください)

 

使用貸借契約とは、「ものを貸す」約束のことです。似たような契約の類型として「賃貸借契約」や「消費貸借契約」がありますが、使用貸借は無償である点で賃貸借契約と異なり、借りたものをそのまま返さなくてはならない点で消費貸借と異なります。(消費貸借は、例えばお金の貸し借りですが、借りた金額を変換すればよく、紙幣をそのまま返さなきゃならないなんてことはありませんよね。)

 

さて、そんな「無償で」「借りたものをそのまま返す」使用貸借契約ですが、無償であるゆえに、民法の原則では、貸主の立場を十分に考慮した規定が多いです。

無償で貸すという信頼関係が前提となった契約であり、あまり契約内容について細かいやり取りがなされることも少ないと思いますので、今回のひな型は、基本的にこれらの原則をそのまま契約書に落とし込んでいます。

 

なお、使用貸借契約は要物契約ですので、合意だけでは契約そのものが成立せず、別途その目的物の引き渡しが契約の成立に必要になります。ただ、引き渡しとはなんぞやというところまで踏み込むと少し難しくなってくるので、ここでは割愛します。

では、簡単にですが、契約書を見ていきましょう。

 

・(目的)

この契約が使用貸借契約を指すものだとの認識が一致させるため、契約を結ぶ目的をきちんと定めます。

簡単な契約書でも良い場合、対象の目的物についても一緒に書いてしまってよいでしょう。対象が多かったり、複雑だったりした場合は、目的物の記載を別の条項に移してもよいですし、別紙の通りとして契約書の後ろに別紙をくっつける形式でも構いません。

 

・(返還時期)

返還時期の定めがない場合でも、契約がずっと続くわけではありません(状況にもよりますが、貸主から返還を請求できたりします)が、争いのもとになりかねませんので、性質上可能である限り、定めたほうが良いと思います。

 

・(目的外利用の禁止)以下の条項

基本的に、使用貸借の原則に従った規定です。使用貸借が無償であることを考慮し、借主の義務が他の契約類型と比較して割と重くなっています。

もちろん、契約次第では変更の余地はありますが、無償の契約において借主が義務を負うことは「筋が通っている」といえるので、その辺は是非念頭に置いたうえで契約に臨んでいただきたいと思います。

 

今回は以上です。

 

ダウンロード
使用貸借契約書のひな形
使用貸借契約書.docx
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