そもそも行政書士とは?

弁護士が裁判をしてくれる、税理士が税務申告をしてくれる、というのは皆さんもパッとイメージが沸くのではないでしょうか。つまり、裁判沙汰になれば弁護士さんに相談しよう!年度末を迎えたから税理士さんに相談しようと思うのが普通の流れですよね。

 

しかし、行政書士に相談しよう!という動機づけが生まれることって、おそらく建設業者さんや産廃業者さん以外に思いつく業者さんってほとんどいないと思います。だからこそ、行政書士という仕事のコンテンツをきちんとご紹介をして、「ああ、そういう使い方をすればいいのね!」と思っていただけると、皆さんにとっても便利になるのではないかと思います。

 

そこで、行政書士のイメージを持ってもらうために、今回はざっくりと行政書士の仕事「総論編」を書きたいと思います。

書類作成のプロ

私たちは、免許を取ったり、営業の許可をもらったり、助成金を申請したり、会社を設立したりするとき、さまざまな「手続」を経る必要があります。そして、その「手続」は原則として「書類」を提出することによっておこなわれます。

 

これらの「書類」を皆さんに代わって作成するのが行政書士の基本的な仕事といえます。

 

とはいえ、ただ「書類」を書く程度であれば、わざわざ国家資格にする必要なんてありません。では、なぜ国家資格として行政書士は書類作成のプロとされているのでしょうか?

それはズバリ、法律をきちんと理解し、法律が規定する要件に適合することを様々な事実で証明することのできる素養があると、国家試験で測っているのです。その試験をパスした人は、とりあえずは法律が求める書類を、事実に基づいて証明しながら作成できる人として認めているのです。

 

しかし、そんなことを言われても「うーん、結局よく分からない」と言われるでしょう。

 

そこで、ちょっとした例を挙げたいと思います。

 

 

「あなたは自動車を運転できますか?」という質問に対して、「はい、できます」と答えるのが普通です。「じゃあ、それを証明してください」と言われた時、どうしますか?

 

普通は、「これが運転免許証です」と差し出しますよね。これが証明という作業です。「運転免許証は今日は持ってないけど運転できます」と言ってみたところで、証明できないと意味がないわけですね。自動車を運転するときには常時運転が可能であることを証明するカード(免許証)を携帯しなさい、というのはこの趣旨なわけです。

 

 

また、「あなたは会社の社長さんですか?」と聞かれた時、社長であるあなたはどのようにそれを証明しますか?「社長と書かれた名刺を差し出します」と答えたらアウトです。

社長というのは、法律上は代表権のある取締役と考えるのが普通です。これは登記事項ですので、登記を見れば誰が社長なのかということが証明できます。

では、「登記はまだしていないけど自分は最近社長になった」という場合には、どのように証明しますか?

 

一般的には、代表取締役の選定は取締役会決議(or取締役の互選)によりますので、あなたが社長として選定されたという議事録を証明手段に用いるでしょう。(その際の議事録が正しいものかどうかを証明する必要もあります。)

 

このように、ある事実を他の事実で証明するという作業を積み重ねて、説得力のある書類を作成する仕事が行政書士といえます。だからこそ、許認可の取得以外にも、融資獲得の書類作成や、知的資産経営報告書の作成などのコンサルティングも行政書士の仕事の対象となってくるわけです。

 

 

今回は、何となく理解してもらえれば十分です。

 

次回から、各論編として行政書士の具体的な業務を紹介していきます。